弱く小さな芽が出たんだ。
昨年採ってドライにしておいたバジルからこぼれた種が、床に落ちてて
いたずらに水に浸したら本当にゼリー状になって、
そのまましばらく使っていなかったカラッカラの植木鉢に流し込んだら…そこで芽を出した。
「可哀相に。」
そこは枯れた木がちょっと前まで植えられてて、雑草もよく生える上にエアコンの風が一番当たる厳しい環境だ。そんなところでいたずらに土を与えられ、思わず発芽してしまったバジル。
自分でやっておきながら、ちょっとかわいそうに思ってしまった。
でもこの子たちは才能を持っている。こんなに小さいのに、もうバジルの香りがするんだ。
生まれ持った大きな才能。芽は出たけど花が咲くことはないだろう。
できるだけ直風が当たらないように、下敷きで壁を作ってやった。
活力剤的な液肥も少し与えてみた。大きく茂ることはないだろう。でも、延命したかった。
今はこうして元気に葉を広げているバジル…いつまでこうしててくれるか。
畑違い、見向きもされなかった小さな種と小さな芽。
せっかくのギフトは枯れた土地にこぼれた。
誰からも知られることなく、小さな世界で何も知らずに根を張った。
残酷な運命は人間も植物も同じというわけか…ははは。
与えられる環境に文句を言うのは人間だけで、自然の中で生きる者たちは運命を甘受している。
人はどうしてわがままになったのか。
ワタシはどうしてこうも、わがままになったのか。
自分に興味もなければ気にもしない人を何故ワタシが心配しなければいけない?と、思ってしまう自分がいる。訴えているのに聞いてない人を、どうして守らなければいけない?とも思っている。
提案を悉く無視しておきながらどうにもならないと訴えてくるのは理不尽ではないかとも思う。
人は嫌いだ。求めるくせに、与えてくれる人はいない。
的はずれな心配や言葉はもういらない。
心配して近づいてきて、最後は自分のネガティブな話を置き土産していくのももういい。
もっと夢のある世界で生きたかったね。
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